皆さんの中で迷子犬を保護された経験があるかたはいますか??
迷子というといづれ親の元にもどれるというイメージがあると思いますが、
犬の場合、迷子になった事で命を奪われるケースが今でも多々あります。
沖縄の迷子ワンコを事例に犬が迷子になるとはどういうことなのか、ボランティアスタッフのMayumiさんに寄稿していただきます!
こんにちは。今回は先日友人の飼っている犬マックに起きた出来事を書かせていただきます。
マックは16年前に沖縄中部を放浪しており、何人かの保護を経て友人の元にやってきました。それまでは様々な苦労がありました。一時期虐待を受けたりして人間不信になってしまったのですが、友人の何年もの献身的な世話により保護から数年後には人に懐くようになった雑種の可愛い男の子です。
当時、友人はアパートに住んでいたので保護先は知人の畑の一部に犬小屋を置き毎日通って世話をしていました。でも誰もいない畑にひとりの状態ではやはり心配は尽きず、引越しを決意し犬を飼える借家に移りマックと共に暮らせるようになりました。
庭に柵を立て、自由に遊べるスペースも作りました。マックは老犬ですが元気に昼間は遊んだりしていました。しかし今年に入り足腰が急激に弱りはじめ、室内で寝ている時間が増えました。それでもお散歩が大好きなマックは、昼間ほぼ寝たきりの状態でも散歩の時間になるとヨロヨロと起きて、お散歩をせがみます。
7月上旬、大きな台風が沖縄に上陸しました。暴風域に入る前、お庭に放されていたマックはいつものように遊んでいましたが、柵の鍵が外れてしまったようで友人が気づかぬ間に外に出ていってしまいました。気づいた時は雨が降り始めていて、すぐに友人は近所を探し回りましたがマックはみつかりません。台風は上陸し激しい雨と風が沖縄を覆っていました。そこで私にも連絡があり数人で手分けをして必死に探しました。
暴風雨の中いったいどこにいるのか検討もつかず近くのコンビニや巡回中の警察官に声をかけたりしました。SNSでもこの事をアップしたところ、投稿をシェアしてくれた方の知り合いが、沖縄迷子犬猫掲示板で特徴がマックに似た犬の保護情報があったのを見たと教えてくれました。
ほぼ耳も聴こえず目も見えていないマックは、大きな道路を渡り約1km先まで歩いていき、側溝に落ちて水に流されかかっていたそうです。偶然発見した方が諦めずに必死に側溝から引き上げてくださり、掲示板にそのことを投稿されていて繋がる事ができました。
マックは救助されたあと、行政の委託する捕獲犬が一時置かれる場所に保護されていました。全身ずぶぬれで相当怖い思いをしたようでしたが、幸いにも怪我はありませんでした。
友人の一番の後悔は「迷子札」をしていなかったことです。
もしきちんと鑑札や迷子札をつけていれば、もっと早く家に戻ることができたはずです。友人は以前首輪に迷子札を付けていたのですが、室内飼いになったと同時に安堵感から迷子札をとっていました。まさか老犬が遠くに逃げるとは考えていなかったからです。
今は汚れや水にも強い迷子札がたくさんあります。すべての飼い犬に迷子札をつけてほしいと願っています。首輪の裏に連絡先を書く飼い主もいますが、それは捕獲された場合センターで確認しきれずに処分されてしまうことがあります。迷子札や鑑札札は目立つように、飼い主の連絡先をしっかりと付けてほしいと思います。
迷子を捜す飼い主の投稿はSNSで見ない日はありません。
それほど迷子犬は飼い主のもとに繋がる道が狭いのが現状だと思います。飼い主が警察や愛護センターに届出をしても、保護した方がそこに届出をしていなかったら再会が叶わないケースも多く、飼い主は捜し続けてしまいます。
また、マックを捜していた時、犬を連れている男性がいたので声をかけたところ、その方は「うちには犬がいっぱいいる。全部迷子か捨て犬だ。捕まったら殺されちゃうんだから仕方ない。」と言っていました。その方が警察署や愛護センターに保護の届出をしているかどうか確認しませんでしたが、やはり保護したままの方も多くいるのではないかと実感しました。
マックは偶然に助かり、SNSでも偶然が重なったレアなケースだと思います。
沖縄県の犬猫捕獲ルートを調べたところ、市町村の行政が委託した会社が一旦保護し数日後にまとめて県動物愛護管理センターへ送るそうです。委託業者は変わることがあるので犬猫が最初に捕獲される場所を毎年確認した方がいいと思います。
どの位の迷子犬が飼い主の元に戻っているのか数を調べたところ、2013年度は2,724頭の犬が保護・捕獲され、返還は506頭でした。とても少ないのが分かります。飼い主が迎えにこなかったり、捨てられた犬の中から地元の愛護団体などが何頭か引き出して譲渡活動もしています。
沖縄の愛護センターの活動の一環としては毎週水曜日に譲渡会が行われ、主に不妊手術済みの子犬などを中心に譲渡されています。十年前と比較すると、今では成犬や老犬でも、提携している団体などを通すと譲渡可能になりました。これはすごく嬉しい前進です。子犬以外の犬にも譲渡される権利はあり助かるチャンスが与えられたことになります。全ての犬が譲渡対象というわけではないのですが、譲渡の枠は確実に広くなっています。
それでもまだ数多くの殺処分が行われている理由としては、迷子の飼い主の諦めや、飼育困難による持ち込み、棄て犬、また不妊手術をしていなかったためにたくさん生まれた子犬たちなどがいるからです。里親さんが全然足りていないのが実情です。
2014年度の速報値も調べました。1,598頭が保護・捕獲され、飼い主のもとに戻ったのは297頭だそうです。推移をみてみると2013年から2014年度の返還率に変化はあまりなく、約5頭に1頭の犬が飼い主のもとに戻っています。飼い主へのルートはまだ狭く、世間にはその事がなかなか広まっていないと思います。
私の近所の方や友人の話によると、飼い犬が行方不明になってしまっても、捜すことを諦めてしまう方も多いそうです。まず犬猫の捜し方を知らなかったり、土日しか動けないために愛護センターに通うことが難しかったり等々の理由からです。愛護センターのHPには捕獲された犬猫情報がアップされているのですがそれも知らない方もいます。
迷子に関しいつも痛感するのはたった一つのことです。
「すぐに飼い主の元に戻れる道づくり」です。
地域によっては複雑です。行政も愛護団体も努力を続けていますが、移動を繰り返す迷子犬たちに飼い主が辿り着くまで色々な箇所に確認しなければならないため、飼い主が遠回りをしてしまう場合があります。
それらが全て簡素化されること。
また飼い主が諦めない気持ちが必要だと思います。
私は飼い犬とは人間の幼い子どもと同じだと思っています。
迷子犬は捕獲される時、とても怖い思いをしています。飼い主の名前も場所も人間には伝えられない・・・。どれだけ不安でしょう。
でも、もし首輪に迷子札があればすぐにでも飼い主の元に戻れるのです。
とても簡単なことです。
動物と暮らす方みんなが愛情をこめた迷子札をつけてくれるよう願っています。
Mayumi
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ジュニア (土曜日, 01 8月 2015 18:35)
その通りですね。
小さな子供。話せない分、しっかりと誰がみただけでも解るようにしなくてはいかんですね。
まさかこの子が。や、うちの子に限って。は物語の中だけ。
おこってしまっては遅いんですよね。
PUCCI事務局 (土曜日, 01 8月 2015 20:48)
ジュニア様、コメントありがとうございます。
はい、犬は残念ながら日本の法律上未だ物扱いとなります。
ですからまずは不測の事態に備えて飼主が犬を守る、その気持ちがとっても大切ですよね。