迷子犬ドララを捜して②

ドララ
ドララ

 また、沖縄では多くの米軍関係者が住んでいる。アメリカ人に保護された場合、アメリカに連れて帰る人もいれば、基地内で保護された犬の施設に収容される場合がある。そこにも通い続けていた。そこは犬猫の置かれる環境も収容期限も日本とはだいぶ違っていた。一頭一頭別の檻に入り、走るスペースや玩具や毛布などもあった。しかし殺処分は行われている。多くの方々が引き取ったりしているが追いつかない。その場合は注射による安楽死と聞いた。たくさんの迷子犬が保護され、そして里親に引き取られたり、死んだりしているのが現状だ。

 

迷子犬のチラシを見ると、帰れなくなった犬猫の気持ちと飼い主の思いを想像して心が痛む。一頭の犬が迷子になったことで私のペットに関する意識は大きく変わった。里親になる方法や不妊手術の重要さを知り、そして自分の甘さを反省した。

 

死に別れはとても辛い。しかし生き別れはもっと辛いと感じている。私はドララのことは一生こころの整理がつかないし、消息を諦めることはない。あれからもうすぐ十年。色々あったが一瞬のようにも思う。多くの人が迷子犬やペットを探し続ける人の存在を知っていただけたら幸いに思う。ドララへの謝罪と感謝のこころをこめて生きていこうと思う。

 

今一度になるが命の蛇口である繁殖と、避妊去勢について少し話し、これを結びとしたい。

現在日本ではペットを店頭で選んで買うことが一般的になっている。それは繁殖者により命を売買しているという事だ。その展示・販売されているペットを買うよりも、今日もまた人知れず孤独に殺されているペットがたくさんいると多くの方に認識していただきたい。また、愛護センターの見学等、教育に取り入れたり、家族で話す機会を設けてほしい。インターネットでも里親募集を検索すれば数え切れないほどの犬猫が里親を待っている。

 

犬猫は平成25年(2013年)度時点で13万頭が殺処分されている。(環境省HPより)殺処分に持ち込む人の理由には‘飼い主が病気になった、引越しをする、結婚妊娠、アレルギーの家族がいる、飼っている犬が出産し子犬は不要だから’、などが多い。無知は無責任な人間をつくる。私もその一人だった。犬猫はペットショップで買うものだと思い込んでいた。ドララは保護したとはいえ、その認識は大きな過ちだった。

 

飼い主となった後も課題はある。避妊去勢手術だ。飼い主は生まれてくる犬猫全頭に責任をもてるだろうか?私は何件もの犬猫多頭飼育崩壊を知った。インターネット上でも毎日のように崩壊現場からの悲痛なSOSを目にする。一頭が妊娠したところから始まり、数年で何十、何百と膨れ上がりその中で淘汰される命が山のようにある。その命を数えたら環境省が発表する数の数倍になると思う。

不妊手術の重要さを認識し、私達人間がきちんと数をコントロールしなければならない。犬を飼うというのは十年以上の世話が必要となり、一日もさぼれない。時に自分が入院などした時、代わりに世話をする人がいるのか、色々と責任は重い。

 

それらをきちんと覚悟した上で、動物と暮らすというのは本当に楽しく素晴らしいものになると思う。

ドララを探す間、沢山の情報をいただいた。私が知らないところでドララを探してくれていた人々も多くいたことを後から知り、感謝の思いでいっぱいだ。目撃情報の犬たちはすべて違う犬だったが、その中で保護した犬たちが里親のもとへいき今とても楽しそうに生きていることを知るとやはり嬉しく、ドララを通して結ばれた縁を感じ、こちらも幸せになる。

 

ドララにはただただ、ごめんなさい。そして出逢ってくれてありがとう、と伝えたい。


Mayumiさん、ご寄稿いただきありがとうございます。