「DOGSHIP」代表 須﨑大様③

 

こちらでインタビューの最終になります。 

 

4、犬が噛む場合必ず理由があると思いますが、どう判断すればよいでしょうか?「噛む」犬は保護譲渡を考える上で一番に淘汰されてしまうし、飼犬が「噛みぐせ」がある場合手に負えず捨てる人が出てくる率は多いと思います、先日私も初めて犬に噛まれまして、、是非教えていただきたいです、また犬種が要因にもなるのでしょうか? 

 

まず犬が人を噛む理由は大きく二分化できます。ひとつは『攻撃的』噛みで、ふたつめは『防衛的』噛みです。前者は『一発噛み』であることが多く、後者は『細かい複数噛み』が多く観られます。犬には臨界距離というものがあり、その境界線をいかに狭めるか?というのがトレーニングでもあります。また、家庭犬ならではでありますが、最近は自分をアピールしたかったり飼主の気を引くために『アテンション』噛みというのが案外多いようです。例えば遊びが度を過ぎた場合、スイッチが入り興奮すると自分の意思決定が正しく選べない子がいます。

咬傷自体は犬達にとっては名誉の勲章のようなもので、ヒエラルキーの確認のようなものだと私は考えています。でも人を噛むとなると問題になります。したがって、幼少期から人の肌は薄くて繊細なんだよという事を犬には教えてあげなくてはいけないですね。

 

また犬種による傾向は、少ないように感じます。それよりも社会化の時期の『経験値』が重要になります。仔犬の頃から力で制するような接し方をすると成犬になった時に力によるコミュニケーションの経験値から攻撃性が出てくることがあります。「噛む」事に関しては犬なりの言い分もあると思いますが、人間社会で共生していくためには、はやり NG であることを私達が教えていかなければなりません。

 

5、宮崎県のテレビ番組( DoooN!「問題犬と呼ばれる犬達の声に耳をかたむける」)を担当されていらっしゃいますが、宮崎と東京で飼主や犬の問題行動に異なる点はありますか?

この番組は自分のキャリアを通して地域貢献、故郷貢献ができればいいなという思り、担当させて頂いています。相談の内容はあまり差異はないですよ、大型犬や雑種が多いというのはありますが、悩みのレベルも変わらない。あと外飼いも多く、猟犬として飼われている場合、未去勢が望まれますが、都心では、未去勢だと『落ち着きがない』『元気すぎる』と問題視されることがあります。いい、悪いではなく、どういう人が、どういう目的で、犬とどこに住んでいるかで、同じ日本でも犬との暮らしって変わるんです。外飼いで番犬として飼われている場合、吠えてこそ『優秀犬』となります。 

6、ペットの殺処分問題についてどのようにお考えですか?

保護活動をされている方が多い中、犬の殺処分数がゼロにならないのは、未だ捨てている方がいるからであり、救う活動のみでは難しいということだと思います。

今ある命を手離さない、また一度受け入れた命を手離さない、今後、ここも重要だと思います。また最初のマッチングがうまくいっていないことも大きな要因だと思います。車感覚でかわいいね、カッコいいねと、『見た目』で犬を迎えても、買ってみたけど駐車場に入らないとか、例えばジャックラッセルなどはランボルギーニのようなものですから、乗りこなすためには、それなりの知識と技術が求められます。

、殺処分問題を改善していくにはどのような方法やアプローチが良いと思われますか?まずは、各専門家が今以上に横のつながりを持っていけるといいと思っています。

それと社会全体を考えると同時に個人、個と個のつながりも大切にして活動していく、例えばお互い相手が何を喜んでくれるかな?て考えてみるとか、そういうアプローチが問題を改善していく上で大切なのではないでしょうか。

 

今回言葉を選びながら犬の立場に寄り添ってお話しをされている姿勢に触れ、まるで犬達にインタビューしたように感じました。まただからこそ言葉の端々に飼主である人間への愛情もひしひしと伝わってきました。ご自身の事をある意味クレームのネゴシエーターと表現され、犬と飼主様の双方をいかにすり合わせるかがお仕事とおっしゃっていましたが、トレーナーさんは通訳者であり、心理カウンセラーであり、行動の専門家であり、大変幅と奥行きの広いお仕事なのだという事を痛感しました。益々のご活躍と須﨑様のようなプロフェッショナルの後進が増えていくことを切に願います。